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――それなのに、なんで?
好きな相手に触れてもらえれば嬉しいし、今だって……彼のペニスを愛撫することに幸せを感じてしまう自分がいる。
だけど、どうせいつかは飽きられて、見向きもされなくなるのだから、今の内に距離を取って、その時受けるショックをなるべく小さな物にしたかった。
「でも、卵焼きは甘い方が俺は好き」
「んぐぅっ」
靴の爪先で股間を突かれ、綾人が身体を引こうとすると、弁当箱を置いた智が頭をグイッと引き寄せた。
「綾人も腹減っただろうから、俺のやるよ。次は甘く作って来て」
「んぐっ……んぅッ!」
『下品だ』と思うけれども、喉の奥を何度も突かれて気持ち悦いと感じてしまう自分の身体の方がもっと下品だともう知っている。
「全部……飲めよ」
「んっ……んぐぅーっ」
何度やっても慣れない行為に咳込みそうになったところで、彼の動きがピタリと止まり、同時に温くて粘り気を持った液体が口の中を満たした。
「う……うぅっん」
何度かに分けて全てを飲み込み、萎えかけた彼のペニスの先へと唇を付けて残滓を啜る。
「美味しかった?」
「……」
ハンカチを出して口許を拭き、立ち上がろうと動いたところで、頭を再度ガシリと掴まれ顔を上向きに固定され、綺麗な笑顔でそう聞かれれば、もう頷くしか出来なかった。
「そう、それは良かった。じゃあ今度は綾人の番だ」
「俺は……いいから」
「まあそう言うなよ、このまま戻るの辛いだろ?」
「何とかするから……ぁっ!」
大丈夫だと口に出す前に、両脇の下へ掌が入り身体が一瞬宙に浮く。
「クールビズって便利だよな。ネクタイ取ったりしなくていいし」
「なっ……やめろっ」
合い向かいになる体勢で、膝の上へと載せられた綾人のシャツのボタンを外しながら、口角だけを綺麗に上げた彼の口元にドキリとした。
「止めろとか言って良いんだっけ?」
全てを手早く外し終えてからアンダーシャツをたくし上げ、胸元にチュッとキスをしながら言われて綾人は唾を飲む。
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