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「んっ、うぅっ……や、それ、やだっ!」
貞操帯を外したペニスは、多少かぶれてしまっていて、それを口内で愛撫されれば、敏感になっているから刺激は一層強くなる。
風呂から出たら智は既に帰っていると思っていたが、予想に反して彼はまだ綾人の部屋の中に居た。
しかも、丁寧に布団まで敷いてくれていたものだから、綾人は驚きに目を見張って、諦めたように目を伏せた。
「あ…あぁっ……ん」
下を脱げと命令されて、布団の上で大きく脚を開かされ……抵抗する意志も無いから綾人がそれに従うと、突然智は綾人の股間に顔を近づけ、縮こまってしまったペニスをためらいも無く口に含んだ。
――どうして?
これで最後にしようと内心決意をして臨んだ行為で、初めて受けた口での愛撫に、綾人は酷く狼狽するが、刺激と快楽に弱い身体は拙く腰を揺らし始める。
「んっ……ふうッ……や、もう……でるからっ」
彼の口に粗相をしたら、きっと酷く怒るだろうから、綾人はペニスの根元を掴み、もう片方の掌で彼の髪の毛を掴み剥がそうとした。
「やだっ…やめっ!」
身体がカクカク震え出す。
「ひっ……あうぅっ!」
どんなに押してもびくともしない彼の頭が上下に動き、同時にジュッっと強く吸われれば、耐えきれぬ程の快楽の波に綾人の身体は痙攣し、戒めていたペニスから指が離れていたと気付いた時には、彼の口内に粗相をし終えて身体は脱力しきっていた。
「気持ち悦かった?」
ハアハアと息を乱す綾人の顔を下から覗き込み、意地悪な笑みを見せる智に、精神の箍が外れた綾人の目尻から……涙が次々溢れ出す。
「……何で泣くんだよ」
低い声。
「優しくしたろ?」と続いた言葉に更に嗚咽を漏らし始めると、今度は何処か焦ったように「何なんだよ」と、呟いた智が目尻にキスを落として来たから、綾人は堪らず首を振った。
「もう……分かったから、それで越塚の気が済むなら、動画でも、写真でも、ばら撒いていいから……だから、これで、最後にして」
「は? 何言ってんの?」
「俺、ゲイで……お前に告白なんかして、気持ち悪い思いさせて、悪かったって思う。だけど、俺も……人間だから……」
途中から涙がどっと溢れてとても言葉にはならなかったが、言いたい事は伝わったのか、押し黙った智はそのまま考えるようなそぶりを見せる。
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