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第5話

「アウール人は、探求心が非常に強く、あらゆる分野においてより高次な知識を求める傾向にあります。そのため、あらゆる分野において専門家がおり、日々研究に努めています」  はい、知っております。あれでしょう。不老不死なものだから、暇なんだよね。  結局、朝のリヅィアを含めての行為はあの1回で済んだが、その後、浴槽に連れていかれて、ディノにはまた散々あちこちをいじられた。幸いにも肛門への挿入は、王に遠慮をしているのかあれきりだったが、何度もその入り口である窄まりを撫でられ、ひやひやした。  全身がだるく、強烈な睡魔が何度も襲ってくるが、それにうっかり負けてしまえば、容赦なく先生に殴られるので、拳を握りしめ、爪を掌に立てながら耐える。  毎度毎度のアウール人がいかに他種族と比べて高尚な存在であるのかについての自慢話だ。早く終われ。 「同じ種族でありながら、短い生命の中で愚かにも争いを繰り返すあなたたちと違い、アウール人は、王を頂点とし非常に結束が固く、仲間同士で揉めることはありません。また、無益な殺生も行わず、残虐な行為も好みません」  大切な大切な仲間、その仲間に万が一があった場合に役立つはずだった宝を奪った。そんな僕でも、王であるリヅィアが『忘れよう』と言えば水に流され、『仲間に迎えよう』と言えば納得できるかは別として一応はそれに準ずる扱いを受けられている。  先生からの指導が終わった後は、またディノに庭の中を連れ回された。ディノは、汗やら泥やらで汚れてしまった僕を、また風呂場に連行し、存分に探求心を満たした。気がついたときには寝台の上にいて、また夕食を食べ損なってしまったらしいことに落胆する。  紙に丸を1つ書いて、眠った。  ***  服を剥かれ、手首を大きく開いた足に固定するという行為は、すっかり実験の前準備となったようだ。起きたら既にそうなっていたから驚きだ。  今日はディノが小指を肛門に挿入している。リヅィアより体格の小さいディノの指は昨日よりも圧迫感がなく受け入れもしやすかったが、我慢が効かないのだろう、動き方は激しかった。 「あ、ここ! ここですね!」  内壁のしこりをぐりぐり圧され、背中が反り返る。今日はリヅィアも足側にいるので、唯一自由にできる頭を振り、刺激を逃す。ちょっと待て、指増えてないか。痛い。無理無理。やめてくれ。  ギシと、頭のすぐ近くで寝台の軋む音がした。顔を上げれば、リヅィアがじぃと僕の顔を見ていた。なんだよ、僕の陰茎は下にあるぞ。掌が頬に添えられた。 「ここだけの刺激だと、勃ちあがりはしますけど、射精までは至らないでしょうか」  ディノは王の目が逸れたのをいいことに、やりたい放題だ。小瓶の液体のせいか、僕の内からの分泌液のせいなのか、ぐぽぐぽとあまり上品ではない音がする。やがて焦れたディノは陰茎やら乳首やらに的を変えた。  対して僕はそちらの動きも非常に気になるものの、今は目前のリヅィアの行動が全く読めず、怯えていた。段々と顔が近づいてくる。なんだなんだ。  唇が、目頭の方に触れた。いつのまにか溢れていた涙を吸われる。それと同時に、ディノからの刺激により、全身が震えた。  ぱたぱたと、腹部に白濁液が散る。横目でディノの方を見れば、満足そうに笑っていた。リヅィアの顔が離れる。 「可愛いかった、キール」  なんだそれ。死ねよ。 「さて、浴室に行きましょうか。身体を洗いましょう」  手際よく紐を解かれ、腕を引っ張り起こされる。殴られるかもしれないが、僕は首を横に振った。あの場所はすっかり、ディノの実験場となっていた。身体が汚れてもすぐに洗い流せるし、当然裸だ。それに、今日は肛門の中まで全力でいじられそうで怖かった。 「濡れた布をもらえれば、それで充分ですから」  ディノはむっとしたようであったが、手は出してこなかった。そうか、リヅィアがいるからか、『仲間として扱う』よう言われてるんだもんな。 「――わかりました」  渋々ながら、頷いてくれた。ホッとする。庭を連れ回された後の丸洗いは避けられないだろうが、ぶっ続けでの行為はすごくきつかったので、助かった。  ディノの手から解放される。疲れ切った身体はそのまま寝台へと再び沈んだ。 「じゃあ今日は俺が拭いてやろう。朝議はお前に任せた」  ちくしょう。だからなんだなんだよ、お前は。  リヅィアは、僕を見つめながら、何度も優しく頭を撫でてくる。怖い。 「少しは体力はついたか? 相変わらず細いままだが」  いいえ、主にあなた方のせいで、むしろ日々消耗していっているように思います。手が下腹部のあたりの伸び、円を描くようにして触れられる。達したばかりの身体にはそれさえも刺激となり、声が漏れた。  ディノは不満そうではあったが、湯の張った桶と布を持ってきてくれた後、部屋を出て行った。ああ、午後からの実験時間が怖い。  リヅィアは後ろから僕を抱きかかえるようにして、濡らした布で指の一本一本に至るまで丁寧に全身を清めてくれた。 「食べ物は身体に合っているか?」 「はい、どれも美味しいです」 「どういう仕事につきたいか、希望はあるか? 前は何をしていたんだ?」 「レノに雇われていました。主に家事全般を任せて頂いていました」 「そうか」  しまった。レノの名前を出すんじゃなかった。失った宝のことを思い出したのだろう、それまでうまく力加減をしてくれていたはずの手つきが急に荒くなった。首筋を強く拭かれ、痛みが走る。思わず発した小さな悲鳴に、リヅィアは「すまない」と慌てたように言った。また、優しく撫でるような手つきに戻る。 「キールはレノが好きなのだな」 「はい」 「体力がついたら、俺の世話役になるか」  それは勘弁して下さい、と言いかけて飲む込む。危ない危ない。ここは、「はい」と応じておこう。  リヅィアはそれからは機嫌よく、服まで着せてくれた。珍妙な虫は、珍妙だからこそ、面白がられるんだろうな。 「明日は俺の人差し指を試してみよう」  それも勘弁して下さい、と言いかけて飲み込んだ。

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