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6.抑えられない衝動(R18)
璃玖はスタジオから逃げ去るように飛び出すと、、これから行われるレッスンには向かわずに、トイレの個室へと駆け込み、急いで鍵をかけた。
レッスン開始時間間際のせいか、トイレには誰もおらず、廊下も静まりかえっていた。
そのため、自分の呼吸の乱れが、個室内で余計に大きく響き渡っているように璃玖には感じた。
便座に座り呼吸を正常に整えようと、自分の体を抱きしめるが、上昇した体温と乱れた呼吸は一向に収まりそうになかった。
一樹にあてられた唇、腰に回された腕、身体に這わされた手のひら、耳たぶに感じた熱い口内、そして乳首をなぞった指先。
一樹から与えられた感覚を、璃玖の身体はしっかりと覚えており、次第に腰のあたりに甘い疼きを感じ、熱が一点に集中し始めた。
「ん…」
璃玖は我慢しきれず、半ズボンと下着を下げ、半分ほど屹立したものに、そっと手を伸ばした。
すると、添えるように軽く握っただけで、すぐに完全に立ち上がり、璃玖の屹立したものはドクドクと脈打ち始めた。
自慰行為をあまり行う方ではなかったが、今は治まることなく湧き出す欲望に勝てず、まるで熱に浮かされたように、璃玖は夢中で熱くなったものを握った。
「はぁ…あっ…」
ゆっくりと握ったまま上下に動かすと、自分の声とは思えない甘い吐息が、我慢出来ずに漏れ出してしまう。
璃玖は動かす手を止めず、反対の手でTシャツの裾をたくし上げ、口元まで運び、声を我慢するために口で咥えた。
「ん、ん…」
先端からは先走りが溢れ、次第に璃玖の手を濡らし、滑りを良くしていった。
(なんでこんなに溢れて…きちゃうの…)
いつもとは桁違いに溢れ出る先走りを指で掬い、その濡れた指先で先端の敏感な部分を撫でるように擦る。
その度に、個室内に響く「ピチャッ」と淫靡な音は、璃玖の背徳感を煽りつつも興奮させていった。
(やだ、こんなの知らない…)
今まで璃玖にとって自慰は、生理現象を抑えるための行為でしかなかった。
しかし今は、どうしたら気持ち良くなれるか、ただそれだけを、まるで本能のように求めてしまっていた。
璃玖は、自分がどんな恥ずかしいことをしているか頭で理解しながらも、快感を求めることを止めることは出来なかった。
「ふっ…うっ…!」
(声が…出ちゃう…)
我慢出来ずに漏れ出す声を抑えるため、璃玖はさらにTシャツの裾を深く噛み見直すが、それでも甘い吐息が漏れ出してしまう。
「んっ…う、くっ…」
先走りが潤滑剤のように手のひらに絡みつき、屹立したもの全体が滑るような感触は、今までにないほどの快感を璃玖に与えた。
抑えきれない吐息混じりの声と淫靡な水音が、静まりかえった空間に響き渡るが、そんなことは気にならないほど、璃玖はもう、夢中で快楽に溺れていった。
「…っ、んっ、ん…」
いつもであれば、果ててしまっていてもおかしくない状態だったが、璃玖の身体は、まるで刺激が足りないかのように、さらなる快楽を求めてしまっていた。
『璃玖…』
先ほど、璃玖の耳元で囁かれた一樹の熱を帯びた声が、璃玖の脳内で思い出される。
(一樹…)
璃玖はゆっくりと、そこが気持ちがいい場所だと一樹に教えられた胸の突起に、そっと指先を這わせた。
「んっ…!!」
膨らんだ突起を指先で軽く撫でただけで、一樹に触られた感覚が呼び起こされ、再び電流が走ったような快感を璃玖は感じると、屹立したものの先端からは、さらに先走りが溢れてきた。
「んっ…くっ…」
次第に、胸の突起をそっと触るだけでは物足りなくなり、今度は一樹が行ったように指先で転がすように一周させてみた。
「んーんっ!」
身体を駆け抜けるあまりの気持ちよさに、触っていない反対側の乳首も、まるで触って欲しいかのようにジンジンしだす。
(もっと…もっと…)
璃玖は我慢出来ずに、夢中で屹立したものを上下に動かす手を早めつつ、両方の胸の突起に、片手の親指と小指の指先を必死に伸ばした。
(気持ち…いいっ…。もっと…もっと…)
そのまま夢中で、両方の胸の突起を片手の指先で捏ねた後、左の突起だけ、親指と人差し指でキュッと摘まんでみた。
「んっ、んーーーっ」
まるで目がパチパチするような激しい波が押し寄せ、そのまま自分の手のひらに、璃玖は欲望を吐きだした。
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