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第2話
カチャカチャ…
ん?…物音?…ここ…どこ?…
「んん…」
「目が覚めましたか?」
そこには美丈夫がいてキッチンで料理を作っていた
「…ここ…どこ?」
「お兄さんの車が止まってたとこから少しいったとこです。」
「そう…」
「今日はよく降りますね、ほら、窓の外真っ白です」
「…ん…」
男に言われて外を見るともう雪だらけ。何も見えない
「…あ。俺電話しなきゃ」
「荷物はそっちのソファに置いてありますよ」
「ありがとう」
バッグの中身は何も盗られてはいないようだ
「あった…あ…充電…」
「そこのコンセント使ってください」
「あ…うん…」
充電を始めて数分。電源を入れると沢山の不在着信。あの旅館からだった
「もしもし。すいません。雪で立ち往生して動けなくなって…え?今ですか?えっと…今は…ねぇ!ここどこ?」
「雪見町です。旧雪見寺の近くです」
「雪見町の旧雪見寺の近くみたいです。この辺りの方の家?に避難させてもらっています。あの…今日は動けなさそうなんですけど…キャンセル料は…え?でも…そんな…いえ…ありがとうございます。明日には行けるといいのですがまだなんとも…あ…はい。本当にありがとうございます。はい。失礼します」
旅館の人は本当に心配してくれてそうな声だったな。あんなに心配させたのも優しくされたのも久しぶりだ…キャンセル料はいらないって…赤字になっちゃったはずなのに…申し訳ないなぁ…
でも…優しさすごく嬉しかった…気遣いも嬉しかったな…
「どうしました?嬉しそうですね」
「ん?優しくされたの久しぶりで」
「大人になるとなかなか優しくしてもらえませんよね?」
「そうそう。ていうか…君だれ?俺は六華だよ」
「俺は天華です。一緒ですね!二人とも雪の名前だ」
「本当だな。」
「雪の季節に生まれたんですって俺。六華さんも?」
「うん。そう。同じだねぇ。何かの縁かな?」
「そうですね。」
天華はよく笑うやつで男の俺から見てもめちゃめちゃ綺麗だった。胸が高鳴った気もしたけど相手は男。気のせいだと言い聞かせる
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