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第4話

”子供の誕生日を祝う”だけなのに… 雪人は違和感を覚え、大勢の前で父親に紹介されても前に出たくなかった。 招待客は主に父親の仕事関係と親戚、学校関係者。 それからこの場所に似つかわしくない長い黒髪の高校生位の女子が一人。 清楚な黒いセーラー服姿、この制服は純の許嫁が通う学校のものと似ていた。 周りの大人から口々に声を掛けられるが言葉を濁しながら大人の視線から逃れ、部屋の隅でウェイターから渡されたドリンクを一気飲みした。 「何?これ?」 胃が熱い。 おかしいと思ったその次には顔が火照って真っ赤になっているのが鏡を見ないでいてもわかった。 目が回り足元がふらつく。 体が大きく揺れたとき、手が誰かを掴んだ。 「酒、飲んだのか?」 掴んだ先には純がいた。 「だって…渡されたから…」 「だからって…」 「雪人」 威圧感のある声に遮られ、純は一歩引いた。声の主は雪人の父、芳人(よしと)だった。 「こっちだ」 ちらりとも純を見ずに雪人の腕を掴んでいる。 「芳おじさん、雪人は今具合が…」 純がそう言いかけた時、二人の間に純の父真人(まさと)が割って入った。 「純!」 「だって…」 肩を掴まれ、純は父親に壁際まで追いやられた。 「邪魔するんじゃない、純」 「…雪人には無理だ」 「それでも…だ」 純は俯き唇を噛んだ。 「父さん、もっとゆっくり歩いて」 初めてのアルコールに息が上がり目が回る。階段を登るのでさえ体がついていかない。 雪人は腕を取られたまま階上の一室に連れていかれ、部屋に押し込まれた。 「朝まで出てくるんじゃない」 外側から鍵を掛けられ、ドアノブを握っても部屋から出られないのだとわかると、雪人はドアに凭れたままその場に座り込んだ。 「なんで…」 冷たいドアに頬を当てていると、部屋の奥に人の気配がした。 「誰?」 返事はない。でも誰かいる。 「どこ…?」 薄暗い室内の壁を辿りベッドの側までいくと、レースのカーテンの隙間から差し込む月明かりに青白く光る人肌が照らされていた。

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