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第5話

「あの…」 女の青白い胸には黒く長い髪が掛かっていた。 雪人の目前にいるはずの女の顔ほ暗い室内では影がかかったように見えなかった。 火照っていたはずの体から瞬時に熱が抜け、背筋には冷たい汗が流れた。 体は動けず固まっている。 「雪人…さん?」 女は音もなくベッドから降り立ち、迷いもなく雪人に近づいてくる。 窓を背にしている為に女の表情は見えない。 白い肌の輪郭だけがぼんやりと浮かぶ。 「来るな…!」 「なぜ?」 歩みを止めず近づいてくる影に雪人は恐怖を覚えた。 「私を…好きにしていいのよ?」 なおも近づいてくる影から逃げようと急いでドアに向かった。探るように伸ばした手は壁に当たり何かが音を立てて落ちたが、その拍子に足を取られて床に肩から転がった。 「っ…、…」 横から女の手が四つん這いの雪人の頬をつつ…となぞると言い知れぬ恐怖からか雪人の体が跳ねた。 咄嗟に痛む肩をかばいつつ体を捻り逃げ道を探す。 「出られないわ」 雪人の体に寄り添うように跪き、己の白い体を雪人に押し付ける。 「…ひっ…」 …怖い…! 硬直した雪人の体は床に押し倒され、女の手によって次々と衣服を剥ぎ取られた。 「さあ…私とひとつになりましょう…雪人さん…」 恐ろしさのあまり声も出せず、雪人はただ震えるばかりだった。

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