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第9話

唇を指で辿る。 布団を被ったものの、まだ純の体温が残っている気がして雪人は気分が昂っていた。 「純…じゅん…」 名を呼べばすぐ側で眠る純を起こしてしまうかもしれない。 それでもうわ言のように呟いてしまう。 下着の中に手を忍ばせ己自身に触れた。 「勃ってる…」 あの日、誕生日のあの夜、自分のコレは小さく震えていたのに…。 純のくちびるに触れただけで欲情する。 …あさましい… 従兄弟で、男同士で、クラスメイトで、幼馴染…。 僕らの関係はそれ以上になれない。 許嫁のような未来はない。 ゆるく手を動かす。 「あンっ…」 ならばせめて今だけ、間近に純を感じながら自分を慰めてみる。 「はっ…ぃい…」 くちゅりと水音がするが純を起こす程の音量ではない。 夢中で擦り、快感を拾う。 だが… 「…雪人」 ビクンと体が飛び跳ねて身体中の毛が逆立った。 名を呼ばれ全身の体温が下がり汗腺から脂汗が滲み出る。 「起きてるんだろ?雪人」 息がかかるほど純の顔が寄せられて、雪人は息を止めたまま身動ぎ一つ出来ないでいる。 「ほら…こんな事して…」 純は雪人の下着の中に片手を入れた。 雪人の手の上から雪人自身を握り込んだ。
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