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第11話
「そんなに気に入ってくれたんだ」
もう、純の声は雪人に届いていない。
雪人は純の手を使って快感を追いかけていた。
ゆっくりと動く純の手首を掴んだまま、そのスピードを徐所に上げて一気に上り詰めようとしている。
「あっっン…!」
純の手の中に雪人の熱い迸りが注がれた。
顔を赤く染めたまま、はぁはぁと荒い息を吐く雪人の首筋に汗が珠になり光る。
純はその光る珠を舌先で舐めた。
「気持ち良さげにイッたね」
雪人の体が小さく揺れた。
「俺の名前…呼んでたけど」
純からは下を向く雪人の表情は見えない。
「…俺の事、考えながらシてたの?」
そう聞いておきながら純は茶番だ、と思った。
純は知っていた。
雪人が自分に好意を持っているのを。
好意…それも恋愛的な意味で。
生まれた時からずっと一緒に生きてきたからこそ分かる。
でも、雪人の性格からして絶対にその事を口には出さないのも十分理解している。
だから、
…だから純はきっかけを作ってやった。
そして、雪人がそれに乗ったのだ。
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