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第17話

唇が離れても視線は絡み合ったままだった。 「…帰ろう」 沈黙を破って先に口を開いたのは純だった。 このまま雪人に背中を向けて歩き出せば純の背中が遠ざかって行ってしまう。 気まぐれにキスをされ、何も言わぬままなかった事にされるのだろうか。 「純…」 雪人は純の制服の袖を掴んだ。 皺が寄るほど純のブレザーを掴んでいると顎を掬われて…純の顔が近づいて来る。 雪人は目を閉じ、純からのキスを受け入れた。 触れ合う唇はそれだけで終わらず、緊張が緩んで開いた唇の間に濡れた純の舌が入ってきた。 戸惑う雪人に構うことなく純は雪人の口内をねぶり、舌を吸う。 迫る純から体が逃げそうになると純の腕が雪人の後ろ頭を捕え逃げ場を失くした。 純を受け入れてしまえばその行為はただ気持ちが良かった。 性的な触れ合い。 好きな人に求められる高揚感。 ずっとこのままでいたい。 例え純の気まぐれだとしても純に求めて欲しい。 ブレザーを掴んでいた手が力を失った。 雪人は純と別れて家に帰った。 続けて純の家に泊まる理由が思い浮かばなかったから。 父は、まだ帰宅していない。 ほっとして制服を着替えた。 家の事は家政婦がやってくれるので雪人は一人で食事をとり、風呂に浸かった。 軽く勉強をして幾分いつもより早い時間にベッドに入った。 布団の中で思う事は、今日された純のキス。 人差し指で唇をなぞるとその感触を思い出しゾクッとする。 「純…」 雪人はパジャマの中に手を入れ、昂る自分に触れた。

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