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第20話

クリスマスイブは毎年純の家で豪華な夕食とケーキを食べる。 クリスチャンではないけれど雪人はクリスマスの雰囲気は好きだった。 ツリーを飾り、プレゼントを交換し、ご馳走を食べる。 雪人は父親とクリスマスを過ごした記憶がない。 芳人は毎年後妻の家族と共に過ごすらしい。 父親がどういう人達と過ごすのか雪人は詳しく知らない。 興味も無い。 いっそ父親が雪人の住む家に帰って来なければいい、とすら思う。 だが、何故か芳人は週に二日程は雪人の住むこの家に帰って来るのだ。 「雪人、先に風呂に入っておいでよ」 純が暗に泊まっていけと言う。 「うん」 返事をして風呂場へ向かう。 純は雪人の胸の内をよく理解してくれている、と思う。 言わずとも雪人の最善を導いてくれる。 イケメンで、さりげなく雪人を気遣える。 好きにならないはずがない。 …でも、純には自分ではない相手がいる。 その事実は雪人の心に染みを作るのだ。 体を洗い、湯船に浸かる。 最後に腕を沈めるとパシャンとお湯が跳ねた。 「ふぅ…」 顎を上げ湯気の先、鏡に映る自分…。 屈強な体躯の男ではない。 中性的…よりは女性寄りな顔立ち。 薄い筋肉の付いた細長い体。 そして…紛うことなき男性のシンボルがある。 湯船に浸かったまま、ぼんやりと鏡の中の自分を見ていた。

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