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第32話

けほっ、んっ…喉の調子が悪いと雪人は思った。 「雪人、風邪ひいた?」 「…別に…」 純が布団を掛け直してくれたのだが、喉が掠れて咳っぽいのは純のせいだと雪人は軽く純を睨む。 純によって身体中を舐められた上に所々きつく吸われ、散々喘がされた雪人の体には斑模様が出来上がっていた。 …休暇中でよかった、そう思う。 「風邪ひいたのならこのまま正月が明けるまでウチに居ろよ」 「…なん…」 口では気乗りしない風を装ってみたが、なるほどそういう方法もあったのか、と雪人は思った。 「…熱が出ると面倒だから…ここにいる」 「それがいい」 満足そうに純が頷く。 風邪ではないと思うが、まだ喉がいがらっぽい。 「水…」 雪人は咳で喉が乾きやすい事に気が付いて水を取りにベッドから降りた。 裸のまま絨毯を歩きサイドボードの上に置かれたペットボトルを手に取り開けた。 空調が効いているとはいえ冬の夜は寒い。 だが純に全身を愛撫された雪人はまだ興奮して火照る体の熱を籠らせていた。 一気にペットボトルの水を半分近く飲み、口の端から零れた水を手の甲で拭う。 冷たい水を飲んでも体の熱っぽさは冷める事なく、雪人はそれを持て余した。 自分は…渇望している… …何を…? 心がもやもやしたがどうする事も出来ない。 「雪人」 純が雪人を呼ぶ。 「…」 無言で残りの水を飲み、純の待つベッドに戻った。

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