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第34話

「止めていいのかよく考えて」 父と叔父がもめている。 …だが自分は仲裁出来ない。 …だから、この場はやり過ごすしかない。 雪人はそうは思っても二人の争う声が気になってその場から動けないでいた。 「あっ」 芳人の声がして、雪人はビクッと体が跳ねた。 「…くっ…ぅ…ン…」 …どうしよう。 …誰かに知らせて… 「…ぁあ…ン…」 雪人は自分の耳を疑った。 どう考えても芳人の声が争って出している声ではなくなったのだ。 「…あ…ぁ…」 艶がかった、邪な声。 今の雪人はドアの向こうで何が起きているのか想像が出来る。 父は叔父に性的な関係を強要されている。 だが雪人はその場から動けなかった。 「雪人、ありがとう」 純の部屋に戻ると、何も知らない純に礼を言われた。 「あ…ごめん。真人さん…が見つからなくて…」 純と視線を合わせる事無く雪人はそう言った。 結局、雪人は真人の寝室の前で父の喘ぎ声をただ聞いて戻ってきた。 …ショックだ。 …父が… …真人と… …どうして…? ソファーに座り黙り込む雪人を純は横目で見ていた。 だがその口角は緩く持ち上がっていた。

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