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第45話

羽織袴を身に纏った名前も知らない人達が次々と画面に写る。 テレビの画面をじっと見てはいるが心中は穏やかではなかった。 雪人は明日の事を考えないようにしていた。 昨日、父親からの伝言を純の口から聞いて雪人は“またか”と気持ちが落ちた。 …また、梨花が来る。 雪人は女性に、というより他人に興味がない。 純と本があればそれでいい…精神的にも未熟だった。 明日の事を極力考えないように瞳に映像を映しながらも、心に落ちた影は広がり闇に侵食され始めていた。 動かずにただ起きて本を読んでいる生活では空腹を感じ辛く、雪人は一日中ほとんど食事を取らなかった。 三度食事の声は掛かったのだが純に言われて一口二口箸を付けて食事を終えた。 それがいけなかった。 夜になって風呂を済ませソファーベッドに入って目を閉じてからにわかに空腹感を思い出した。 ベッドに横たわる純は眠ったのだろうか。 人が動く気配はしない。 …我慢して眠ろう… 雪人はぎゅっと目を閉じてゆっくりと呼吸を続ける。 穏やかな気持ちになり、すっと意識が遠くなる瞬間、雪人はようやく眠りについた。

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