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第46話

常夜灯の明かりの中で雪人は目を開けた。 随分と眠ったはずなのに時計の時間はまだ夜中の時間帯を指している。 薄ら眠い頭のまま今日の事を考えてしまった。 「…ふぅ…」 大きく息を吐き、体を起こした。 だんだん頭が冴えてきてこのままでは朝まで眠れなくなりそうだ。 …そういえば… 雪人は眠る前、空腹だったのを思い出した。 …ちょっとだけ何かを摘んで… そっと布団を抜け出して、雪人はそっと部屋を出た。 深夜の廊下は一段と冷えていて、パジャマの上にジャケットを羽織っていても寒い。 室内なのに吐く息が白く見える。 よほど冷え込んでいるのだろう。 誰に出会う事もなく、居間まで降りてお菓子を口にした。 甘い焼き菓子を幾つか食べ、水を飲んだ。 「ふぅ、落ち着いた…かな」 何となく満たされたような気がしてゆっくり目を閉じた。 「雪人」 名を呼ばれ身体が大きく跳ねた。 「こんな所で…あぁ身体が冷えてる」 目の前に自分を見つめる幼馴染の顔が。 その両手は照れることなく雪人の頬を包んでいる。 「…純…来てくれたの?」 「雪人がいなかったから」 …嬉しい… 自分を気にかけてくれる。 「戻ろう」 差し出された手を掴み、立ち上がった。 冷えた廊下も二人で歩けば寒さも気にならない。 手を繋いだまま、雪人は純と歩く。 …暗くてよかった。 …純に顔を見られなくてすむから…。 雪人は僅かに頬を染めていた。 「ちょっと待って」 純が足を止め、雪人を制した。 「物音が…」 雪人には聞こえなかったが…純には何か聞こえたのだろうか。

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