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第59話【R18】
「…じゅ…ン…」
唇から名前が零れても部屋は静まり返ったままで、返事をしてくれる人はここにいない。
それを実感してかシーツに一筋の滴が落ちた。
…あの日、最後に純に触れた日…
雪人は目を閉じて思い出していた。
純が忙しいから翌日の雪人の時間が欲しいと言ったあの後、約束通りに純は雪人と一日中過ごした。
朝、雪人が目を覚ます頃に純はベッドの中で雪人を抱き寄せて優しいキスの雨を降らせた。
寝起きぬけで夢心地のふわふわした状態で触れた唇は幸せの味がした。
「今日は雪人を甘やかしてあげる」
…なぜ…?
…嬉しい…
…でも…
雪人はその先の事を考えると素直に喜べない。
…“代償”って何だろう…
心が黒い靄(もや)に包まれる。
「僕を見て、雪人」
純の瞳には雪人だけが映っている。
雪人の瞳にも純だけが…。
「…ン…」
雪人からキスをして、純の首に手を回した。
「あ…あぁ…はぁン…」
純の指は雪人の胸をまさぐり、先端を弄ぶ。
両脚の間に純の脚が割って入り、閉じる事が出来ない。
うつ伏せて腰を上げ、頭はマクラに着けて横を向き、純にされるがままになっている。
決して強いものでは無いが止まることの無い快感に、雪人は堪らずに自分の人差し指と中指を咥えた。
吸っては噛み、涎がとめどなく流れ落ちる。
「はッ…あぁン…」
後ろから伸ばされた指は胸だけでなく昂る雪人自信をも嫐っていた。
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