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第100話

「…いいなぁ…」 大木の手にすりすりと体を寄せて甘える猫。 「こんなに…猫寄せが出来ない人がいるなんて思わなくて…すみm…」 「言わなくていい」 雪人は大木の口元を手で塞いでいた。 …最悪だ… 聞いてしまったら事実だと認めなきゃならない。 「ニャー」 不意に柔らかな感触が雪人の足首に触れた。 真っ白い子猫が雪人のズボンの裾にじゃれついていた。 「…わっ…」 …可愛い…! フワフワの綿菓子のようなシルエット。 何がそんなに楽しいのだろうか。 裾を遊び相手に見立てたように飛び掛りじゃれつく。 「ほら、これで誘き寄せて」 大木はさっきまで雪人が使っていた羽の付いたおもちゃを雪人の膝辺りで一瞬動かした。 子猫はピタリと動きを止めて獲物をじっと見る。 そして少し意地悪く、ゆっくりと動かしたり直線だったりジグザグだったりと動きを複雑にすると…お尻を高くあげてピョンと跳んだ。 手足全部を使って抱え込み、じゃれる姿を見ていると雪人は大木に笑顔で話しかけていた。 「抱きついて手で叩いてる。狩りでもしてるつもりかな」 大木はおもちゃをちょっとずつ手前に引き寄せ猫ごと雪人の目の前に引っ張った。 「触っていいのかな…」 おずおずと手を差し出し、触れる。 「ニャー」 柔らかく、温かい。 喉の辺りを撫でると気持ちよさそうに目を細めた。 「うわー、捕まっちゃった」 いつの間にか子猫の手はもっと撫でろと言わんばかりに雪人の細い腕を捕えていた。

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