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第102話

部屋の中はそれほど違和感なく、雪人は少しほっとた。 「汗かいたんで、風呂入りましょうよ」 雪人は風呂場だと思われる方を向いた。 …ベッドと浴室を遮る壁が透明なのはこれ如何に? 「いや…先にどうぞ…」 雪人は狼狽えながら断った。 …とてもじゃないが、無理。 「…じゃ、先に入りますね。後から来てくれてもいいですよ」 浴室に入る手前で大木が誘うように雪人に手招きをするが、雪人は枕を投げて抵抗した。 シャワーの音がして、大木が汗を流しているのが見えるとつい目がいってしまうので雪人は部屋の中を物色する事にした。 一見普通のホテルに見えるがダブルベッドよりも大きいクイーンサイズのベッドの枕元にはキャンディーのような可愛らしいパックが置かれている。 「これ…ゴム…なんだ…」 さらにローション、ウエットティッシュなど細々した物も揃っている。 一見するとよく分からないが壁には自販機が設置されていて、スタンダードな大人のおもちゃからえげつない外見のモノ、使用用途すらわからない謎なモノなどが売っていた。 「なんかヤダ〜…」 ボフンとベッドに背中からダイブして雪人は伸びをした。 「お待たせしました…あ、もう待てない感じですか?」 「ちがう!」 急に起き上がればバスローブ姿の大木を目の当たりにして、これからの事を想像すると雪人の顔が熱くなった。

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