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第103話

ギシッ…とベッドが沈む。 大木が片膝に体重を掛けて雪人ににじり寄った。 「ま…待って…シャワー浴びな…」 雪人は唇を塞がれ、のしかかられるようにベッドに押し倒された。 「あ…ン…シャ…ワー…」 諦め悪く抵抗すると大木は仕方ないとでも言いたげに雪人の上からどいた。 「はぁ…どうぞ」 「う…ん…」 そそくさと浴室に向かうが、そこの現実を思い出した。 …丸見えじゃん! シャワーと言った手前、何もしないで帰れない。 コソコソと服を脱いでシャワーを浴びたが、なかなかいい匂いの取れないボディーソープの存在にやや手こずりながらも身を清めた。 浴室から出ても、ラブホという場所だからか緊張して足が前に進まない。 だがバスローブに身を包んだ体でゆっくりと近づき、ベッドの脇に立った。 「それが恋人の距離感なんですか?」 「し…知るか!」 口答えをしても、ベッドに乗る勇気は出てこない。 「それならまずは名前呼びからしましょうか」 …名前…? 「雪人…さん」 大木はベッドの上で両手を広げ、雪人の名を呼ぶ。 だが雪人はそれに応えない。 「…そんなに嫌ですか…?」 「そ…そういう訳じゃ…」 …まずい… あからさまにシュンとした大木に雪人は罪悪感を持った。 「ち…違う…ただ…その…」 雪人は焦った。 「どうせ俺の名前…知らないんでしょ」 「何で…それ…」 「それに関してはお仕置案件なので覚悟して下さい」 大木がニッ、と笑った。

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