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第148話
「何から聞きたい?」
二人は三人掛けのソファーに離れて座っていた。
雪人の顔を見るのが辛くなる、そう純が思っての並びだ。
やや沈黙して、雪人が口を開いた。
「…梨花…と…一緒にいた…」
…見られていた…
梨花はあの日以来、久しぶりに純はの家に来て、残念な知らせを一同に聞かせたのだ。
「彼女の目的は何だと思う?」
「…え?」
質問を質問で返されると思ってなかった雪人は目を見開いた。
「な…何だろう…。純の事が…好き…とか?」
やや顔を赤くして雪人はそう言った。
雪人の答えは子供のような微笑ましさはあるが…今時の小学生だってもっとマシな事を言うだろう。
「不正解…」
純は少し離れて座る雪人の肩に腕を掛けて身体を引き寄せ、耳元で言った。
「…身体、だよ」
「え!」
嘘はない。
所謂政略結婚のようなモノだから。
両家お互いの絆を深めて縛り付け、一生付き纏われる。
「白鳥沢と縁故があれば色々と有利だからね」
「それで…子供…」
子供は両家を繋ぐ象徴。
だから白鳥沢の血が欲しいのだろう。
「雪人は梨花が怖いんだろ?」
「.......」
問われて雪人は首を縦に降った。
「僕も一応は白鳥沢の人間だから、僕で何とかなるかと思ったんだけどね…」
…それで、梨花と…
「でも僕も子供が作れないらしくて…雪人に嫌な事をさせた」
雪人にとっては恐怖でしかない行為。
「…でも、どうしても必要だったんだ」
純が呟いた。
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