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第151話

「僕…何にも知らないんだ…君についても」 「…聞いてきたんでしょ…」 「…大木の口から聞きたい」 雪人の腕の中で、大木は甘えるようにその腕に頬を擦り付けた。 「…高校二年の時、突然 父親だっていう男から連絡が来たんだ…」 ぼそりと大木が話し始めた。   大木は祖母と二人、都心から少し下った片田舎に住んでいた。 母は既に他界し、母方の祖母しか頼れる者はおらず、毎日慎ましく暮らしていた。 その祖母が真冬の朝、突然亡くなったのだ。 前日まで元気に働いていたのに。 ある朝、いつも早起きの祖母が起き出して来ないのを不審に思った大木が既に冷たくなっていた祖母を寝床で見つけた。 心不全だった。 大木は悲しいよりも先に『また、置いていかれた』そう思った。 葬儀は見かねた近所の人達がごく小さなものを執り行ってくれた。 後見人には祖母の友人が名乗りをあげてくれ、祖母の残した僅かな遺産で何とか高校を卒業する迄学校に通える見通しが立った。 そして一人で生きていこうとした時、突然父親と名乗る男から連絡があったのだ。 「それが、黒瀬真人。俺の父親だってさ」 今までの彼とは違い自嘲気味に話す大木に雪人は戸惑いつつも彼の言葉に耳を傾けた。

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