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第152話
“頼っておいで”
真人はケントにそう言った。
だが裕福ではない暮らしをしていても、ここには知人がいて愛着もある。
高校を卒業したら就職してたった一人で生きて行こう、そう思っていたのに真人はそんなケントに興味を引く言葉を言った。
“兄弟や従兄弟に会いたくはないか?”
会ったことの無い肉親にケントは会ってみたい…そう思った。
そこから先は図られたように話が進み、真人の支援で大学進学を勧められた。
…大学なんて行かなくても生きて行ける。
だが、オープンキャンパスで訪れたそこで、ケントは雪人を見た。
…従兄弟が通っていると聞いていたが…
長めの漆黒の艶やかな髪に不釣り合いなほど表情は凍りついている。
翳りのある美しい横顔。
ひっそりと息を殺して生きている雪人に、ケントは胸が張り裂けそうなほど惹かれた。
初めての恋をしたのだ。
雪人の存在が決め手となりケントは雪人と同じ大学に進学した。
その際“大木”姓を“黒瀬”に変えるのかとケントは真人に聞いた。
母方の姓のままでは真人の世間体に問題があるとケントは思っていたのだが、真人は今はどちらでもいい、そうケントに告げた。
…今…
…将来は白鳥沢の駒になるのかもしれない…
でも、今は…雪人の側に居たかった。
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