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第155話

雪人は驚きで目を見開いた。 …それって? …どういう意味? 「僕は父親と同じ…分かる?」 …純が、叔父さんと同じって…? 「真人叔父さんと…?じゃあ純の…」 …純の父親って…? …まさか… 「分かった?そうだよ」 背中をソファーに預けて純が脚を組み直す。 「僕の遺伝上の父親は芳人伯父さん。そう、雪人と同じ…」 片側の口角が上がった。 自嘲ともとれる笑い方。 「…僕らは従兄弟じゃなくて…兄弟。腹違いの」 …純は…僕の兄さん…? …まさか、大木も…? 今まで自分が知ろうともしなかった事実が暴かれる。 歪んだ兄弟。 歪んだ家族。 家の為に色々なものを捨て、そしてまた繰り返そうとしている。 「雪人がどう思っても、これはウチには必要な事なんだ」 純は大木に目を遣る。 「どうする、ケント。お前が梨花を抱くか?雪人を抱いているその身体で」 上がっていた純の声のトーンは落ち着いていた。 「考えさせて欲しい…」 そう言うのが精一杯だった。 大木と二人、雪人はいつも泊まっている部屋にいた。 純の私室はすぐ隣り。 だが今はまだ応接室にいるだろう。 「大木は…僕の弟なの?」 雪人は目を合わせられずに大木の胸を見ていた。 …その胸に梨花を抱くのだろうか…。 「さっきの話からだと、そうなる」 大木も詳しくは知らないようで、雪人はただ不安に思うだけだった。

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