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第157話【R18】

「辛いの?」 目に掛る前髪ごと額を撫で、身体を寄せてくる。 温もりが雪人を浸食する。 「僕が、いる」 純が雪人を抱きしめた。 唇に熱が触れると柔く食まれ、それは顔中至る所の存在を確かめるように優しく食らう。 「雪人、僕達は半分づつなんだ。半分同じで、半分違う」 愛おしく撫でる指先はシャツの背を掻き乱す。 キツく皺が寄るほど握り、純は雪人の肩の上で息をした。 「今、ケントは梨花を抱いている。だから雪人は…」 純が顔を上げ、間近で夜の闇に染まった瞳を覗いた。 「代わりに…僕が抱いてあげる…」 衣服はすぐそこのベッドに着くまでに全部脱ぎ捨て、二人は柔らかなスプリングの上で抱き合った。 のしかかる男の顔は明かりの影でその表情は見えない。 大木ではないその男、純の体の重みは大木よりもやや軽いが…そんな事は今の雪人にとって大した事では無かった。 「不満そうだね、雪人。もう僕じゃ物足りないかな?」 純はそう言って雪人の真っ白な胸に赤い花を咲かせた。 胸の赤が幾つも増えて、それは胸だけでは無く腕や背中や脚に花を咲かせた。 純の愛撫を身体中至る所に受けて、雪人は大木を想いながら純に抱かれる“背徳”の事実を受け入れようとしていた。

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