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第161話

手を引かれ、真っ白な雪の上に付けた足跡。 恐る恐る歩いていたのにいつの間にか走り出し、じゃれ合っていた。 抱きしめたまま倒れ雪まみれになって笑い合う。 知らない場所で不安な気持ちだったのが嘘のようだった。 両方の手のひらを天井に向けて、雪人は顔を覆っていた。 「ずっと…ずっと純は…僕を守ってくれた…」 …本当に“お兄ちゃん”だった…。 「う…うぁ…ぁ…」 純なりの、雪人への愛情…。 他人から見ればその形は歪だ。 だが不器用な純からの、不器用な雪人への想い。 …純が…好き… …子供の頃から…ずっと… 溢れる想いが涙と一緒になって止まらなかった。 「泣いた?」 頷く雪人の頬をケントが優しく撫でる。 「…ケ…ケント…」 雪人が恐る恐る名前を呼べば、雪人にピッタリとくっついてソファーに座る。 そして愛おしく雪人を胸に抱いた。 「名前で呼んでくれるんだ。ありがとう」 ケントの指が雪人の髪を撫で付ける。 「ゴメン…」 …それは何に対する謝罪なのだろう… 「…ゴメン…ケント…ゴメン…」 その言葉をはケントの心を重くした。

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