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SS-1-1『 きみとぼく 』
まあるい目が ぼくを呼んでいたんだ。
泣きそうになるのをガマンして、その子のくちはギュッとへの字になっていた。
さらさらの髪、まあるい目、白いほっぺ、ピンク色のおくち。
後から来るよと言われていたその子は、お話の中に出てくるお姫様みたいに可愛らしい。
でも目に涙がたまっていたから、きっと悲しいことがあったんだ。
ぼくは “ ぼくよりちいさい ”っていうその子の涙をどこかに飛ばしてあげたくなった。
「あ、来たんだね!」
ビックリしたのかまあるい目がもっとまんまるになった。
「待ってたんだよ!早くおいでよ!」
「うん!」
目がキラキラと輝いて、涙がお星様になったみたいだ。
伸ばした手でその子の手を掴んだらにっこりと笑うから、ぼくも嬉しくなってつい手をつないだままお部屋に走っていっちゃった。
後から“ 家の中は走ってはいけないよ ”と言われたけど、ぼくは“ ごめんなさい ”とふたりぶんあやまった。
ぼくの後ろにくっつくその子を守るように。
おやつの時間にその子のなまえが“ おと ”だとわかった。
おとは赤いいろよりも青いいろがすきで、お外であそぶのもすき。
ぼくは雪のひに遊んだのははじめてだったけど、おと といっしょならどんなお天気でもきっと、ずっとたのしい。
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