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SS-1-2『 きみとぼく』
さらさらの髪、まあるい目、白いほっぺ、ピンク色のお口。
満月の明かりが暗い室内を照らす。
あの頃と何一つ変わらない桜人。
いや、桜人は変わった。
あの時より美しくなった。
可愛らしい子供とは違って大人の色香が加わったのだ。
桜人と出会って十年、僕達は中学生になった。
その間にいろいろ分かったことがある。
まず、僕と桜人は血縁関係にある事。
僕の父親の黒瀬純と桜人の父親の白鳥沢雪人は従兄弟同士。
だから僕達は血縁関係にある。
でも、僕は知っている。
僕達はもっと血が濃いのだ。
夜、大人達の会話を偶然聞いてしまい僕はそれを知りショックを受けた。
桜人と兄弟だという事実。
…嬉しい…
もちろん桜人には話していないし話すつもりはない。
これは僕だけの秘密。
それから、桜人は僕の事が大好きという事。
“好き”と言ってくれた訳ではないが僕の行く所には何処にでも付いてくる。
夜、僕のベッドで手足を絡ませて眠る幸せ。
でも、それが辛くなってきた。
眠る桜人の頬を擽る髪を指で払い、そっと額にキスをする。
もうそれだけでは我慢が出来ない。
心の底から湧き上がってくる黒い染みのような感情を何と呼べばいいのか。
「…ん…」
うずくまるように まあるくなって、桜人は僕の身体に擦り寄った。
引き寄せられるように項に顔を寄せて…舌先で舐める。
…あまあい…
きっと全身が砂糖のように甘いんだろう。
黒く湧き上がる邪な想いに、重い重い蓋をした。
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