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SS-1-5『 きみとぼく』
「どうしたの?」
桜人は僕が捲った布団を目の位置まで戻す。
「…寒い」
「一緒に眠る?」
「.......ん」
桜人はこくんと頷きベッドの端にもぞもぞと動いていった。
布団に入れば寒いと言って僕の身体に手足を絡ませた桜人の身体はそれほど冷たくはなかった。
「寒くない?」
「…ん」
桜人を胸に抱き寄せ、僕と同じシャンプーの匂いがするさらさらの髪を梳いた。
僕にしがみついて顔は見せてくれない。
「桜人、今日僕が中庭にいたの、見た?」
「…うん」
あぁ、やっぱり。
「あの子ね、僕を呼び出して桜人の携帯番号を聞いてきたんだ」
「え?告白じゃ…?」
ぱっと顔を上げて間近で僕を見つめる桜人。
「違うよ。だから自分で番号聞いてみればって言ったんだ」
桜人はあからさまにホッとした顔を見せた。
「でも、僕は番号聞かれてない…」
「諦めたんじゃない?」
「…そうか…」
桜人はにっこりと微笑んだ。
可愛いい、僕だけの、桜人。
だがその笑顔は直ぐに曇ってしまい桜人は僕から目を逸らした。
「…千隼は…何でも出来る…から…女子達も…千隼の事が…」
「僕が大切に思うのは桜人だけだから」
桜人の後頭部を引き寄せ、少し強引に抱き寄せた。
本当は好きだと言ってしまいたい。
愛してると言って桜人の全てを手に入れたい。
この美しく可愛いい人を、自分の欲望でぐちゃぐちゃに汚したい。
だが…それは、許される事なのだろうか?
胸の中の温かな体温を失いたくない…。
ーおわりー
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