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SS-2-12『兄弟 』【R18】
まだ ドキドキが治まらない。
「ほら、僕とちーやの」
手を広げて桜人が見せるのは、僕と桜人が吐き出した体液。
「ん…美味し…」
あろう事か桜人は人差し指をペロリと舐めて妖艶に微笑んだ。
「お…桜人!舐めたらダメ、汚いよ!」
「僕と、ちーやの味…甘〜い味」
うっとりとするような顔。
「もう、揶揄わないで」
ティッシュを乱暴に引き出して桜人に押し付けた。
「揶揄ってなんか、無い」
指を拭いたティッシュをゴミ箱に投げ、桜人は真剣な顔をしていた。
「僕がずっと好きなのは、千隼だけ」
…大きな目を潤ませて見つめられたら何にでも、うん、って言ってしまいそう。
「こんなに言ってるのに、信じてくれないの?」
瞳を覗かれると心の奥まで見透かされそう。
「だって…僕達は…その…お、男だし…」
「今どきの世の中は寛容だよ?」
「そ…それに…桜人は雪人さんの後を継ぐんでしょ?そうしたら…結婚だって…ッ」
「バカ」
桜人がいきなり強く抱きついた。
「く…苦しいよ…桜人」
「僕はずっと千隼と一緒にいられるように頑張るから…そばにいてよ」
桜人の腕にさらに力が込められた。
「でも…」
「もう!うん、って言って!」
「う…うん…」
半ば気迫に押されてした返事。
でも、時間が過ぎれば桜人は忘れてしまうだろう。
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