「...何すんだよっ、全く」 淡いピンク色の光の中、ようやくラブホに連れ込んできた男の顔をまともに見る。 タレ目がちな目に、柔らかそうな髪の毛。身長は悔しいが20センチ差位はありそうだ。 「何すんだよ、ってこっちのセリフなんだけどなあ」 柔らかく呟く声とじっと見つめてくる目に、何も言えなくなる。 迷惑をかけたのは俺の方だ。 「悪かったな、誰だか知らねぇが助けてくれて」 淡いピンクのベットに腰をかけ、男を見る。 .......やけに体格が良いせいで自分が貧相に見えてくる気がする。 「んー、まあ、いいよ。いいコト閃いたし」 「あ？.......っえ」 いい事ってなんだよ、と聞く前に視界が反転した。 「...んな、なに」 男の、面白そうに歪んだ目と目が合う。 驚いて咄嗟に反抗できず、上に乗っかられる。 「よいしょ、っと。...君、名前なんていうの？」 「離せっ！そこから退けよ！」 何がよいしょだ！おっさんかよ！ なんだかよく分からねえが、この状況は確実にヤバい！ じたばたと手足を振り回すが、男は重く、ビクともしない。 「どけよ！殴られてえのか！」 「うるっさいなあ…」 「んっ！？」 男は殴ろうとする俺の手をひょいひょいと纏め、唇を重ねてきた。 「ん、んぅ、やめっ....ん！？」 文句を言おうと口を開くと、男の熱い舌が無遠慮に入ってくる。 「んんっ、ふ、ぅ」 口腔をかき回し、歯列をなぞり、せめてもの抵抗にと奥に引っ込めた舌を絡め取られ吸われる。 「うﾞっ、ん.....やっ、んぅ..........っ、！」 ゾクゾクとした感覚に、抵抗出来ない圧倒的な力に、いつの間にか身体の力が抜けてしまった。 「っはぁ、はぁ...」 「ん、大人しくなったね…キス好きなの？」 生理的に浮かんでいた目尻の涙を男が拭う。 「っどけよ」 「そんな顔で言われてもなあー、説得力に欠けるよ」 どんな顔だよ！ それに、と男は俺が気づかれないように膝と膝を擦り合わせて隠していたところを撫でる。 「やっ」 「何立たせてんの？キスで気持ちよくなっちゃったんだ？」 ぶわ、と顔の熱が上がった。