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第11話
あの後、ゴールデンウィーク明けのテストがあったけど、俺はもうそれどころじゃない。
岬圭一が教師としてこの高校に来るなんて...。
.......まあ、女避けにあいつを利用した俺も悪いのは認める。
でも、さすがにそりゃあないだろ......!?
携帯なんてあのまま放っておけば、二度と会わずにいられたってのに。
案の定取り返すしかないようだ。
...行きたくねえ...。
「テスト、どうだった?冬夜」
「最悪だ」
「えへへ、俺も!」
「一緒にすんな」
「えー」
帰りのSHRが終わり、寄ってきた優介を軽くからかう。
「一緒に帰ろ!」
「あ、...俺ちょっと用事」
誘ってきた優介には悪いが、携帯だけ取り戻しに行かないと。
...どうせ今後顔を合わせることになるんだし、今朝のこともなかったことにしたい。
「そっかぁー、俺、一人かぁ」
「彼女見つけて帰れよ」
「冬夜とは違うんですぅ」
拗ねているコイツは放っておいて。
「じゃーな」
「おう」
俺は保健室へ向かった。
ガラガラガラ
「入るぞ」
入ってすぐに病院にあるような長いソファが置かれ、左手には手洗い場や冷蔵庫、奥にデスクが壁沿いに置かれている。
相変わらず、消毒液の落ち着いた匂いがする。
デスク脇の窓から夕焼けの光が差し込み、部屋の中はオレンジ色に染まっていた。
岬圭一はいないようだ。
右側を見ると仕切りで区切られた空間があり、覗き込むとベットにが四台並んでいる。
「...あれ.......君、何か用かな?」
「っ?!」
オレンジ色のベットを見つめていると、ドアの横に白衣を着た岬圭一が、立ってこちらを見ていた。
「あれっ!?子猫ちゃんだ」
すぐに俺だと気づいたのか、穏やかな雰囲気が一変、昨日の夜の危うい雰囲気になった。
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