11 / 64

第11話

あの後、ゴールデンウィーク明けのテストがあったけど、俺はもうそれどころじゃない。 岬圭一が教師としてこの高校に来るなんて...。 .......まあ、女避けにあいつを利用した俺も悪いのは認める。 でも、さすがにそりゃあないだろ......!? 携帯なんてあのまま放っておけば、二度と会わずにいられたってのに。 案の定取り返すしかないようだ。 ...行きたくねえ...。 「テスト、どうだった?冬夜」 「最悪だ」 「えへへ、俺も!」 「一緒にすんな」 「えー」 帰りのSHRが終わり、寄ってきた優介を軽くからかう。 「一緒に帰ろ!」 「あ、...俺ちょっと用事」 誘ってきた優介には悪いが、携帯だけ取り戻しに行かないと。 ...どうせ今後顔を合わせることになるんだし、今朝のこともなかったことにしたい。 「そっかぁー、俺、一人かぁ」 「彼女見つけて帰れよ」 「冬夜とは違うんですぅ」 拗ねているコイツは放っておいて。 「じゃーな」 「おう」 俺は保健室へ向かった。 ガラガラガラ 「入るぞ」 入ってすぐに病院にあるような長いソファが置かれ、左手には手洗い場や冷蔵庫、奥にデスクが壁沿いに置かれている。 相変わらず、消毒液の落ち着いた匂いがする。 デスク脇の窓から夕焼けの光が差し込み、部屋の中はオレンジ色に染まっていた。 岬圭一はいないようだ。 右側を見ると仕切りで区切られた空間があり、覗き込むとベットにが四台並んでいる。 「...あれ.......君、何か用かな?」 「っ?!」 オレンジ色のベットを見つめていると、ドアの横に白衣を着た岬圭一が、立ってこちらを見ていた。 「あれっ!?子猫ちゃんだ」 すぐに俺だと気づいたのか、穏やかな雰囲気が一変、昨日の夜の危うい雰囲気になった。

ともだちにシェアしよう!