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第29話
忘れろ俺。
お布団最強。
「っ!?」
足音が近づいてくる。
近づいてくる気配を感じつつ無視していると、布団を思いっきり捲られる。
「なっ、」
「冬夜。......冬夜」
うわあ。目が怖い。
なんか分からんけど変なスイッチ入れちまったかもしれない......。
「なっ、何、んんっ!?」
やっぱり!?
顎を救い取られて深くキスされる。
...中途半端な体制で、抵抗ができない。
「ん、んゃ、ふぅ、」
激しく動き回り我が物顔する舌に、頭が回らなくなってくる。
「っ、っ、、ちゅ、んっ」
後頭部をガッチリ固定されて、身動きが取れないっ!
「っ...ん......は、っ...」
呼吸をする暇も与えられず、酸素が足りなくて頭がクラクラする。
「......っはっ、っはぁ、はぁっ」
やっと離れた時には、俺はもう呼吸をすることで精一杯だった。
「......ねえ、冬夜。俺、冬夜のこと好きだよ」
「はぁっ.......は、はっ」
「んね、俺たち、本当に付き合わない?」
「っ、はぁ、な、なんで急に」
視界がボヤけて覆いかぶさった岬圭一の表情が読み取れない。
「お願い...」
「んっ、ゃ」
サラ、と髪と顎を撫でられる。
「お、俺は気持ちよかったって言ったけど!っふ、普通に無理やりだったから!」
「うん、......ごめんね」
っ、悲しそうな声にグッとくる。
どうしよう。
「お前なんかっ、」
「お願い......冬夜」
多分俺、コイツの悲しむ顔に弱い。
「ね、冬夜」
「んっ」
ペろ、と唇を舐められる。
「冬夜...」
「っ、わ、分かったっ」
舐められた唇を指でなぞられた俺は、限界を迎えて降参した。
「なりゃいいんだろ!なりゃ!」
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