31 / 64
第31話
二人で校舎を出ると、駐車場に停めてあったバイクに乗り込む。
「仲いいんだな、あの保健医と」
ヘルメットを渡してきた丈さんの言葉にドキ、とする。
「うん」
返す言葉に困ったから、ヘルメットを被って後ろに乗り込んだ。
俺達の関係を言う機会なんてないと思うけど。
「おい、掴まってろよ」
「?あ、うん」
俺は丈さんの腰に手を回し、きゅっと掴まった。
「行くぞー」
丈さんの声に、そっと目を閉じた。
色々なことが一度に起こり過ぎると、頭が痛い。
岬は、変だ。
俺なんかの何が好きなんだか、不思議だ。
だって、こんなにも。
『お前が生まれたって分かった時、殺しときゃよかった』
『全部アンタのせいよ。ぜーんぶそう!』
『っおらっ、死ねよ!』
こんなにも、必要とされてないのに。
ぽん、と腕を叩かれて我に返る。
「っあ、」
いつの間にかものすごい力で丈さんをホールドしていたらしい。
わ、悪い丈さん。
締め上げていた腕を緩め、丈さんの硬いお腹を摩っといた。
ともだちにシェアしよう!