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第33話
結局熱は下がった。
でも、丈さんには迷惑かけた.......。
あの人は、人に気を使わせないようにするのが上手い。
今日の朝も、お礼を言ったら「眠いから早く行け」と言われてしまった。
でも、申し訳ない。
「っあー!今日テスト返って来る日っ!」
登校している途中、優介が大声で叫ぶ。
「え?......あー、テストって、この前やったやつか」
忘れてた。
いやほら、色々あってな......。
考えるだけでも頭が痛くなる。
「忘れてたの!?......満点とるって言ってたね、そういえば!」
「まあな」
そんなこと言った気がする。
「うちの学校テスト多くね!?今日テスト返って来るじゃん?で、今度は一ヶ月後にある!」
「多いな」
「うあー、なんでこの学校に入ったんだろう...」
優介は頭を抱え込んで呻く。
俺も呻きたいわ。
テストが返された後の休み時間、案の定優介が泣きついてきた。
「冬夜ぁあ...俺死んだわ」
「大丈夫、生きてるぞ」
「ね、何点だったと思う?」
いや、知るかよ。
「どうでもいいわ」
「冷たっ、氷みたい」
私、悲しい...と心にもないことを言ってふざける優介に、笑いが込み上げてくる。
「ふっふふー、実は国語は八十点だった!」
「いいじゃん」
思ったよりも高かった、なんて言ったら怒られるから言わないけど。
「でも数学二十五点だった!」
「駄目じゃねえか」
全然高くなかったわ。
偏りすぎだろ…。
「あ、冬夜はどうだったんだよっ」
「あ?......満点ー」
ニヤニヤしながらテストを見せると、優介が机に崩れ落ちる。
「マジかー!」
優介とワイワイ騒いでいるうちに、俺を悩ます事は忘れていた。
......放課後まで。
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