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第40話
ゆさゆさと揺さぶられて目が覚める。
「おはよ.....今七時だよ」
「......、」
窓の外は、もう暗い。
そうだ.....あの後......思い出したくもないけど、あの後寝てしまっていたのか。
「.......」
自分の身体を見てもスッキリしているし、服も整えられている。
「......」
ジト......と岬を睨む。
「えと.....ごめん?」
「クソ野郎」
もう呆れという感情しか湧いてこず、布団を退けてベッドから出た。
「!」
あれ。
また前の時のような痛みに襲われるかと思ったけど、痛みはなかった。
「あ、よかった、痛みはない?」
聞くと、腰をマッサージしておいたらしい。
「すげぇ」
「でしょ」
いや、あんなにガツガツしておいて何言ってんの?って感じだ。
ドヤ顔やめろ。
「俺......起きなかった?」
人の声や気配ですぐ起きてしまうのに、
「うん、ぐっすりだったよ」
しっかりと寝れていることにもびっくりだ。
「冬夜、もう帰るの?」
パソコンを見つめ難しい顔をしていた岬が、俺が椅子に置いていた鞄持ったのを見て声をかけてくる。
「帰る。じゃ」
「ええっ!待って待って、俺送ってくよ」
「いらねえ」
慌ててガタガタと帰る支度を始めた岬を放って、俺は廊下に出た。
昇降口に出て歩き始めると、岬が後を追ってくる。
「ちょっと、送っていくって」
焦ったように言う岬を睨みつけた。
「贔屓は良くないですよ、センセイ」
無視だ無視!
関わるとロクなことが無い。
「あっ、くまさん!車にくまさんいたよね。あれ、増やしたんだよ」
なんなの?
....そんなので釣られるわけねぇだろ。
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