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第46話

​─────♪♪ 「.....んーー、......っあい。もしもし」 携帯の着信音で目が覚めた。 寝ぼけていたせいか、相手を確認しないまま電話に出る。 「あ、冬夜?おっはよー!オレオレ!」 「....オレオレ詐欺は間に合ってる....、じゃあな」 「あーっまってっ!」 なんだよ......優介かよ。 今日はせっかくの土曜だというのに、朝っぱらから起こしやがって。 「なに」 「遊園地行こうぜ!」 「却下」 切るぞ、と言うと慌ててストップをかけてくる。 「家にいてもつまんねえじゃんか...どっか行こうぜ」 ええー...。 「優介勉強しなくていいの...?」 「っそれだっ!」 これで切れるか、と思いきや。 「え?」 「勉強会だ!勉強会!」 俺はまだ朝早いのに、優介に勉強を教える事になった。 急に勉強しようだなんて、優介どこかに頭をぶつけたのか? 待ち合わせ場所に行くと、案の定まだ優介は来ていない。 アイツ...自分から呼び出しておいて、何なんだよ。 「......」 数メートル離れたところには同じように待ち合わせなのだろう、寡黙そうな男が一人、携帯を眺めながら待っていた。 いつまでそうしていたのだろうか、約束の時間から十五分がたった頃。 手を合わせて申し訳なさそうに優介が来た。 「っごめーん!遅れたわ」 「おせぇよ」 「おそい」 えっ!? 隣で同じように待ち合わせしてたのかと思っていたが、どうやら待ち人が同じようだった 「...椿寛也だ」 「あっ....、佐々木冬夜」 「この組み合わせは初めてだねー!冬夜、寛也は一年のバスケ部エースなんだよ!」 ....ああ、道理で背が高くがっしりしてると思った。 「......いい体してるな」 「あー、ありがとう」 俺の身長が惨めになってくる位だ。 「.....大丈夫、冬夜の身長でも充分可愛いよっ?」 「......」 羨ましがっていることが顔に出てたのか、優介がニヤニヤとからかってきて、イラッとくる。 「....おい、二人っきりじゃなかったのかよ」 コソコソと優介に、椿を連れてきた理由を尋ねる。 「椿が冬夜に会ってみたいって言うから...それに、椿は英語ができるから......」 俺に......? 「おい、腹減った」 「あ、そうだね!早く行こっ」 チラ、と俺は椿を見る。 部活に接点がない俺は、バスケ部のエースとかも分からない。 なんで向こうは俺の事知ってるんだ...? 「椿はなんで俺の事知ってるんだよ」 前を歩く椿に聞くと、びっくりしたような顔でこっちを見た。 えっ、なに?? 「椿、ソイツマジで無自覚だから!ほっといていいよ」 「えっ......?は?」 もー、と何故か呆れ顔でこっちを見て大袈裟に溜息をつく優介。 え、なになに?! 「いや、......お前割と有名人だから」 椿の言葉に首を傾げる。 ......そんな変なことしたっけな…..? 「もー、いいよ!冬夜はほっといても。早く行こうぜ」 「あ??呼んでおいてその対応かよ」 「まあまあ。どこ行くかー」 ぶらぶらと眩しい日差しの中、三人で歩く。 「...俺の家は無理だから」 「あー、......そうだね」 優介は、ある程度俺の事情は知っているから、俺の言葉に曖昧に頷く。 「俺の家だな」 「椿の家?」 「ああ。ここから近い」 知り合ったばかりの奴の家にお邪魔するのは気が引けるけど、仕方ない。 「じゃあ、そこで勉強しよう!俺、ちゃんと勉強道具持ってきたし」 「当たり前だ」 偉そうな優介にツッコミをいれる椿。 「.....ふっ」 二人のやり取りが面白くて、思わず笑ってしまう。 ......朝早くに起こされて面倒臭いと思っていたけど、楽しいからいいや。

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