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第50話

椿side 俺は、目の前に広がる光景に唖然とする。 「うわ、可愛い....優介、こっちにうさぎさんもあるぞ!...可愛い」 「お、ほんとだ!ふわふわじゃん」 ...佐々木は、猫目を爛々と輝かせながら、俺のベッドの上にあるぬいぐるみを抱いていた。 頬ずりまでしている。 原は原で、微笑ましそうに佐々木を見ている。 ......そりゃ、そういう目にもなるわ、原。 小さい両腕いっぱいにぬいぐるみを抱え、ふおぉお、と声をあげる佐々木。 「......いつもこうなのか?」 ベッドの横にあるソファに座って佐々木を眺める原に、尋ねる。 「そう。びっくりした?」 「......まあな。......原がいつも佐々木のそばに居る理由が分かるわ」 「普段はツンケンしてるんだけどねー、どうにも、ぬいぐるみには弱いみたいなんだよね......冬夜は。......色々理由はありそうだけど。......それより、なんでこんなにぬいぐるみが?」 「あー......親が買ってくるんだ」 「ふぅーん」 思わぬ質問が来て、軽く誤魔化しながら答える。 「すげぇ.....こんなにぬいぐるみが.....あ、ちっこいくまさんもある」 佐々木はまだぬいぐるみに夢中だ。 「いつ俺らが見てることに気づくかね」 「そうだな」 俺らは、可愛い、可愛いとはしゃぐ佐々木をそっと見守ることにした。

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