51 / 64

第51話

.....すげぇ! なんだここ! いっぱいぬいぐるみがあるっ! うわ、なんだこの可愛いサメさんのぬいぐるみ! ちっこいくまさん可愛い! 「ふふっ、もふもふ...、.................」 ふわふわとしたうさぎさんの触り心地を楽しんでいると、視線を感じた。 「.............」 振り向くと、優介と椿がソファに座ってこちらを見ていた。 二人とも、なんとも言えない微笑みをたたえている。 「......」 そっと持っていたうさぎさんをベッドに戻す。 「......」 スン、と何も無かったふり。 .......。 「......気が済んだ?」 「もういいのか?」 ...あーっ! やっちまったぁっ! うわぁ、うわ、うわあ......。 ......優介はまだいい。......俺がぬいぐるみ好きだということは知っているから。 問題は、椿だ。 さっき初めて会ったばかりで、まだロクに話していない。 ...それなのに! 初対面の奴の家のぬいぐるみに興奮する俺...。 「な......っ、なんだよ、」 「ほんとにもういいの?もう少し堪能したらー?」 「いいんだぞ。遠慮しなくて」 二人の視線に、顔がどんどん熱くなる。 「っ、こっち見んなっっっっ!」 穴があったらどころか、地面に穴掘って入りたいっ! 俺は二人を置いて、隣の部屋にササッと戻った。 「よし、勉強だぁ!勉強ー」 「そうだな」 二人は何事も無かったように勉強を始めたけれど、二人の手はぬいぐるみがあった。 「俺、可愛いから側に置きながら勉強しよっかなーって!」 「俺の分と佐々木の分も持ってきたぞ」 机に突っ伏してチラ、視線を送った俺に、椿がぬいぐるみを置く。 「っすん、」 もういいや.......。 ぎゅうっとブルーのふわふわうさぎさんを抱きしめる。 あー、ふわふわ。 可愛い。 みんな抱きしめてるから恥ずかしくないし。 ...二人の優しさに、甘えることにした。

ともだちにシェアしよう!