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第57話
そんなことを考えているうちに、放課後になった。
「........入るぞ!」
意を決して保健室のドアを開ける。
「みさちゃん、最近元気なくない?」
「私が慰めてあげよっか!」
相変わらずだな、おい。
「ちょ、岬」
俺に気づいたのか、デスクの周りでワラワラといる女子の中から、ひょいと岬が顔を出す。
「佐々木くん!...みんなちょっとごめんね、具合悪い子来たから用事がないんだったら出てってくれるかな」
一斉に女子の視線が俺を刺す。
「....」
「眠り猫...」
「ぇ?」
女子達は、眠り猫、?と呟くと、岬にまた来るね!と言いながら出て行った。
「眠り猫...?」
ってなに?
「それで、昨日は寝てないの?」
眠り猫について考えていたら、岬が俺の事をチラリと見てそう言った。
「なんで...」
「分かるかって?....顔みてれば分かるんだよ。....それで、寝にきたの?」
キイ...と椅子を軋ませ、岬が身体をこちらに向けた。
「いや、...話したいことがあって」
柔らかい目で見つめられ、ゾクゾクする。
「俺もちょうどあるんだよね...こっちにおいで」
デスクの隣にある椅子を岬が指す。
静かな保健室に、どんどん緊張高まる。
「っ、あのさ」
「ん?」
「俺、お前と居ると訳わかんなくなって、困るんだけど」
チラ、と岬を見る。
「だから、ちょっと怖いっていうか。自分でも何言ってるか分かんねぇけど、怖くないっていうか」
「...うん」
「初めて会った時、お前と付き合ってる、とか変なこと言っちまったし、岬も誤解して」
「...」
「だから、...俺、....俺は」
喋ってるうちに、どんどん訳分かんなくなってきて、俯く。
...なんて言えばいいんだろう。
「....冬夜」
ふいに名前を呼ばれて顔をあげる。
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