57 / 64

第57話

そんなことを考えているうちに、放課後になった。 「........入るぞ!」 意を決して保健室のドアを開ける。 「みさちゃん、最近元気なくない?」 「私が慰めてあげよっか!」 相変わらずだな、おい。 「ちょ、岬」 俺に気づいたのか、デスクの周りでワラワラといる女子の中から、ひょいと岬が顔を出す。 「佐々木くん!...みんなちょっとごめんね、具合悪い子来たから用事がないんだったら出てってくれるかな」 一斉に女子の視線が俺を刺す。 「....」 「眠り猫...」 「ぇ?」 女子達は、眠り猫、?と呟くと、岬にまた来るね!と言いながら出て行った。 「眠り猫...?」 ってなに? 「それで、昨日は寝てないの?」 眠り猫について考えていたら、岬が俺の事をチラリと見てそう言った。 「なんで...」 「分かるかって?....顔みてれば分かるんだよ。....それで、寝にきたの?」 キイ...と椅子を軋ませ、岬が身体をこちらに向けた。 「いや、...話したいことがあって」 柔らかい目で見つめられ、ゾクゾクする。 「俺もちょうどあるんだよね...こっちにおいで」 デスクの隣にある椅子を岬が指す。 静かな保健室に、どんどん緊張高まる。 「っ、あのさ」 「ん?」 「俺、お前と居ると訳わかんなくなって、困るんだけど」 チラ、と岬を見る。 「だから、ちょっと怖いっていうか。自分でも何言ってるか分かんねぇけど、怖くないっていうか」 「...うん」 「初めて会った時、お前と付き合ってる、とか変なこと言っちまったし、岬も誤解して」 「...」 「だから、...俺、....俺は」 喋ってるうちに、どんどん訳分かんなくなってきて、俯く。 ...なんて言えばいいんだろう。 「....冬夜」 ふいに名前を呼ばれて顔をあげる。

ともだちにシェアしよう!