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第4話
「これ以上勃たせると痛くなるな。外して欲しいか?」
淡々とそう告げながら、拘束具に覆われているペニスを指先で弾いた匠海は、股の間へ手を伸ばし、陰嚢を緩く揉み込んだ。
「……っ!」
「閉じない」
反射的に脚を閉じようとしたけれど、甘く響いた匠海の声に佑は動きを必死に止めた。
「取って欲しかったらどうするんだっけ?」
匠海の放ったその一言で、頬へと熱が集中する。ただ生殖器のチェックをしているだけだと匠海は言うけれど、何年経ってもこの瞬間、佑は羞恥で泣きそうになった。
「う……ぅ」
佑が腰を前へと突き出せば、陰嚢から手が離される。そのまま、犬がチンチンをするかのように腰を前後へ動かすと、さらに硬度を増したペニスが拘束具に触れ痛みを覚えた。
「痛いか?」
問われて佑は頷くけれど、匠海が許してくれるまで、動きを止めてはならないことを知っている。
「佑は我慢強いな」
「……っ!」
今日の匠海は意地悪だ。と、胸の尖りを飾るピアスを再び引かれて佑は思う。けれど、これに耐えれば褒めてもらえると分かるから、懸命に腰を振り続けた。
辛いときには泣いてもいい……と、匠海に言われているけれど、佑が声を出して泣いたのは、今までただの一度だけ。
確かに、犬にされた当初は戸惑い逃げ出したくもなったけれど、これも彼なりの愛情と思えば、受け入れることは辛くなくなった。こうして側に居られる事が、奇跡のようなものなのだ。
「当分結婚はしない。もししても、お前を捨てたりはしない」
佑の抱いた不安など、とっくに見透かされていたようで……そう告げながら匠海は首輪の留め具へと指で触れてくる。
これは、彼からの躾が始まる合図。
佑はすぐさま背筋を伸ばして動きを止め、上を向いて喉元を晒す。すると、首との間に余裕のあった首輪をきつく締め直され、条件反射で下半身から淫らな疼きがわき上がった。
「颯真は、見違えるほど立派になったと思わないか?」
その名前を出されるだけで、心拍数は跳ねあがるけれど匠海に知られるわけにはいかない。
「どうした?」
優雅に動いた長い指先に顎を軽く持ち上げられ、じっと瞳を見つめられれば、後ろめたい気持ちがわき出てつい視線を逸らしてしまう。
「佑」
嗜めるように名を呼ばれ、慌てて匠海の顔を見上げると、あろうことか顔が近づき唇へと何かが触れ――。
「……っ!」
驚きに目を見開く佑の首輪を後ろへ引いた匠海は、その呼吸を奪うかのように、角度を変え、小さな唇を自身のそれで深く塞いだ。
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