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第8話
普段は彼に自慰をさせ、それを眺めるだけだったのに、それだけでは収まりきらない感情が渦を巻いていた。
「佑、これは……罰だ」
理不尽なことを言っている自覚は十分に持っている。まさか、溺愛している弟と、佑を交えて会っただけで、こんな気持ちに陥るなんて思ってもいなかった。何に対する罰なのか? きっと分かってはいないだろうが、匠海の雰囲気がいつもと違うということは、はっきりと感じ取ったようだ。
「う……うぅっ……ん」
根本を離せばすぐに射精した佑の白濁を掌で受け止め、それをアナルへと擦り付けながら、細かく震える華奢な体を匠海は上から見下ろした。胸の尖りを彩るピアスを摘んで軽く引っ張れば、痛むのか? 眉間に皺を寄せ堪える姿に、匠海の背筋を愉悦がじわりと這い上がる。
「ふ……ぐぅ」
気づけば唇を塞いでいた。口を開けと命じなくても、佑は匠海を受け入れる。こんなことは初めてだった。欲情がコントロールできずに、それを飼い犬にぶつけるなんて、自分こそが獣なのではないかと思うが止まらない。
「……うっ、うぅ!」
小さな口腔を舌でねぶり、逃れようとする舌を吸いながら片手でピアスを弄び、膝を使って股間を擦れば、呼吸のしかたが分からないのか? 肩の辺りに触れた掌が縋るように服を掴む。
鼻で息をすればいいなんて、教えるつもりはまるでなかった。そればかりか、苦しげに歪む彼の表情に、心が満ちていくのが分かる。これまで匠海は男相手に性的な行為をしようと思ったことはなく、女性を抱くのも性欲処理が必要だからという意味合いで――。
「……堕ちてしまったか」
ようやく唇を解放したとき、佑は意識を失っていた。たったこれだけの触れ合いで、気を失ってしまうなんて、随分と初(うぶ)なものだと思う。
「仕方ない」
呆れたように呟きながらも行為を止めるつもりはないから、匠海は佑の脚を割り開きアナルの縁へと指を伸ばした。
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