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第11話

「アッ、アアッ―!」  自分の物とは思えないような悲鳴じみた嬌声に、驚いたのか? 匠海が動きをいったん止め、「気持ちいいのか?」と尋ねてくるが、息があがって答えられない。 「――っ!」  すると再びそこを押され、声を上げそうになるけれど、佑は咄嗟に唇を噛んで必死に声を飲み込んだ。 『ごめんなさい』 『止めてください』 『許してください』  もしも言葉を紡げたならば、佑は哀願しただろう。けれど、それを声に出したなら、彼との生活は終わってしまう。 「ぐぅ……ん」 「大丈夫か?」  労るように頬を撫でられ、涙を指で拭われたから、無意識のうち、縋るように佑は顔を擦り寄せた。優しい匠海がここまでするには何か理由があるはずだ。もしかしたら、自分の用途が性欲処理の道具へ変わったのかもしれない。  ――それでも、必要としてもらえるなら……。 「健気だな。本当に、犬のようだ」 「……うぅっ」  後孔へと進入してくる熱塊を、ひたすらに受け止めていると、彼の下生えが臀部へと触れ、下腹を優しく撫でられた。なんだか褒めてもらえたみたいで、こんなに酷い有様なのに佑は嬉しくなってしまう。 「嬉しいのか?」 「……んっ」  ペニスの全てを受け容れたことに、言いようのない喜びを感じた佑が頷き指を舐めると、匠海は律動を開始した。 「ずっと苦しかったな。あの時、すぐにこうしてやればよかった」 「ううっ……うぅ」  後孔を緩く突き上げられ、亀頭を軽く揺らされただけで、再び達した佑の体からガクリと力が抜け落ちる。 「まだだ」  この時、射精感に体を震わせ、遠のいていく意識の中で、幸福感に包み込まれた佑だが……次の瞬間胸のピアスを強めに上へと引っ張られたから、そこから生まれる痛みと疼きに一気に意識が覚醒した。 「あ、あ……」 「お前が颯真を庇うなら、知らない事にしておこうと思ったが、間違いだった」  匠海の言葉を理解するだけの気力はもう残っていない。今はただ……自分の体に欲情している彼の表情に、佑は見惚れてしまっていた。 「これだけ俺を本気にさせた責任は、とってもらう」 「ん……うぅ」  端正な顔が近づいて、荒々しいキスで唇を塞がれる。今日一日で何回自分は彼にキスをされただろう?  ひとつひとつを覚えていたいと思うのに、自身では制御できぬほど強い快楽に溺れてしまい、今が夢かなのかもよく分からなくなっていた。 「返事は?」  止まないキスと律動の合間、問いかけてくる低い声音は、いつもの優しい匠海のもので――。 「……わん」  だから、内容はよく分からないけれど、佑は掠れた声で答える。犬が主に逆らうなんてありえないと教えられているし、佑自身、匠海の側に居られるならば、どんな事でもするつもりだ。 「いい子だ」  すると、髪をふわりと撫でた匠海の律動はさらに速まって……肩口を掴んでいたはずの手は、いつのまにか、彼の大きな掌に包み込まれていた。

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