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第9話

「薬湯のおかげかもしれません。楽になりました」 「…… そうか」 「先生、私からも一つ伺ってもいいですか?」 「何だ?」 「先ほどのは…… 男にしかなさらないとおっしいましたが…… 反対に、女性だけに効くようなツボなども、あるのですか…… ?」 それとなく尋ねているつもりかもしれないが、「女性への施術」について探っているのは明白だ。 俺は内心ため息をついた。 もしかしたら、本当に具合が悪いのかもしれない。どこかに暗く冷たい病巣があって、原因も治療法も分からず苦しんでいるのかもしれない。 陸奥には別の思惑などなかった、そんな期待も抱いていたのだが。 「上半身はそのまま、膝を布団について腰を上げろ」 短く命じてから、油差しから多めに油をとる。 命じられた体勢を理解した陸奥が、上半身を起こして振り返った。 「聞こえなかったのか?尻をつき上げて膝をつけと言ったんだ」 「…… 分かりました」 低く返事をした陸奥が、敷布に手をついて膝を立てた。彼が内心の疑念や反発と闘いながら獣のように四つん這いになるのを見ながら、むき出しになった彼の尻のすぐ後ろに膝をつく。 油をなじませた指で梅色の菊門を撫でると、陸奥の腰が逃げるように前に引っ込んだ。 「逃げるな」 腕を下に回して腰を引き上げ、陸奥の脚を自分のひざで広げさせる。菊の花芯に二本の指を(うず)めると、陸奥はそこから電流が走ったように全身を硬直させ、直後にガックリと頭を下げた。 先ほど入れた油が陸奥の体内に残っている。二本指を抽送し中を搔きまわすと、温められてゆるくなった油がグチュグチュと音を立てた。 「陸奥、お前の本当の目的はなんだ?」 まだ治療だと信じているのか、拳を敷布につけて恥辱に耐える陸奥の背中に、俺は尋ねた。 「お前が病でないことは、もう分かっている。何のために来て何を知りたいのか、正直に話せ」 「何のことか…… 分かりかね、ます…… っ、私は本当に、ぐ、具合、が…… っ」 「案外、強情だな。では質問を変えよう。誰に命じられて探りに来た?お前の雇い主は誰だ?」 尻の穴を嬲られながら無言で首を振る陸奥に、俺は(くら)い興奮を覚えた。 素直に白状すればいいものを。そう考えながらも、内心では否定し続けてほしい気持ちが大きくなっている。 俺は下履きの紐をほどき、作務衣の前をくつろげた。温かい陸奥の中から指を抜き、手に(ぬめ)る油を屹立した自身に塗る。 その先端を尻の(あわい)に擦り付けると、指の蹂躙から解放され息をついた陸奥が、(おのの)くように身体を震わせた。逃げようとする腰を引き戻し、腕でガッチリと抱える。 「さあ、質問はさっきと同じだ。答えないとどんな目にあうか、分からぬような幼子(おぼこ)でもあるまい?」 脅すように、紅梅色の蕾に先端を押し付ける。怒張した肉棒が、今すぐにでも温かい肉を貪りたいと、その入り口を舐め回した。 「いいのか?言わないと、このまま貫くぞ?こんなところで、花を散らす気か?」

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