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第12話

「あ…… っ!」 腰の下に腕を入れ、少し浮かせる。そのまま浅いところを擦ったとき、わずかに開いた陸奥の唇から、うわずった声が漏れた。口を押さえようとする手首を咄嗟に掴み、再び敷布に押し付ける。 「声を抑えるなと言っているだろう…… 」 堪え切れずに上がった彼の喘ぎはひどく扇情的で、脅すような低い声音とは裏腹に、陸奥の中にいる俺のものは一層熱く滾った。 もっと聞きたい…… いまのは、どこだった…… ? あたかも暗い坑道で金塊か鉱石を探しているような、不思議な高揚に囚われる。 俺は夢中になって、俺は陸奥の一番感じる所を探って腰を揺らした。 「あ、んぅ…… っ」 速く短い息の間に漏れる小さな喘ぎに、思わず口の端が上がる。声と連動して跳ねる身体も、締めつけ絡みつく中の肉も、気を抜くと果てそうになる俺を容赦なく刺激してきた。 一度無理に寸止めしている陸奥の方が早いはずだ。 俺に突かれて逐情するときの顔が見たい。 その一心で耐えていた俺の目に、敷布に爪を立てていた陸奥の右手が、そろりと股間に伸びるのが見えた。 陸奥の手は、自らを慰めるのかと思えばその根元を強く握りしめている。 必死に堪えても声が上がるほどに感じていながら、まだ「粗相」を恐れている陸奥に、俺は疑問と憐憫の情を覚えた。 「出せるものは出せ。溜めると身体に良くない」 (いまし)める拳に手を添えて、その指を開かせる。代わりに俺の手で優しく包み、硬い屹立を上下にしごくと、彼は解放した手ですぐに自らの口をふさいだ。 陸奥がいやいやをするように激しく首を振っている。 声を抑えていても、揺れる腰と肉壁のうねりで、彼が限界に近いことが如実に感じとれた。 俺は今にも爆ぜてしまいそうな剛直を諌めつつ、陸奥の敏感な前立腺とその奥を、交互に擦るように腰を揺らした。 「ん、んう…… っ、ん、ん、ん、んぅ…… っ!」 強い圧迫とひくつきで俺のを翻弄した陸奥の身体は、最後まで抗うように左右に腰をひねってから、二度大きく跳ねた。 そして、何度も堰き止められていた白濁を、俺の手の中の熱い肉の先端から放出させた。 その痙攣が、限界まで耐えた俺のものに甘いとどめを刺す。 「ひぁ…… っ!?」 弛緩し腕を離した陸奥の口から、油断した声が上がる。勢いよく引き抜いた俺の剛直が中空で激しく痙攣しながら、陸奥の腹の上に白濁を放った。 全身が心臓になったかのように、身体中がドクドクと脈を打つ。我ながら、この強情な抵抗と淫靡な肉体によく耐えたと思う。 肩で息をしながら見下ろすと、陸奥はまだ潤んだ双眸で、二人分の体液の飛び散った腹を見つめていた。 「なぜ、外に…… ?」 乱れた息の合間に、陸奥が問う。揺れた腹の上で、洋燈(ランプ)に照らされた白濁がてらてらと光った。 「なんだ、中に欲しかったのか?淫乱だな…… 」 反駁するように口を開いた陸奥は、結局そのまま口を閉ざし、手拭いで体液を拭う俺を不思議そうに見ていた。

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