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第2話
大学生活が始まり暫くしたとき。俺とあいつはたまたま並んで歩いてた。特に何をするわけでもない。ただ何となくそこにいたのだ。
その時突如大声で誰かが叫んだ
「おい!上!気を付けろ!!」
「え?あ!」
「何であんなとこから植木鉢が?」
「危なかったねぇ」
周りが騒ぎだして人が大勢寄ってきて俺たちを気にしてくれた。気づけば誰かが割れた植木鉢を片付けてくれてた。
大学でもあいつはとても人気だ。でもみんな少し大人になったからなのかいじめるやつはいなくて過ごしやすかった。
その日の講義が終わり帰り支度をしていると
「かえろー」
あいつがいつものように呼びに来た
「おぅ。少し待ってて」
「ねぇねぇ!いつも迎えに来てくれる彼お友だち?」
香水のきつい女が話しかけてきた。
「いや。双子の弟」
「そうなの?私も双子なんだ」
「へぇ。」
「双子の縁だし今度一緒に遊びにいかない?」
「ごめんね。忙しいから」
「そっか。じゃあね」
しつこい女じゃなくて良かった
「誰?今の子」
「さぁ?名前もわからない。あ。双子なんだってあの子も」
「そうなの?」
「うん。何?興味ある?なんなら約束してくるけど?」
「ううん。いい。お前と遊びたいから」
「遊ぶってこれからバイトじゃん」
仕送りは生活に困らない以上にくれるけど流石にあまり頼りたくはない。それはあいつも同じ意見。でバイト始めたけど何故か同じところでバイトすることになった。
バイト先は居酒屋。俺はキッチンであいつはフロア
双子なのはみんな知ってる。裏で俺派かあいつ派かで勝手に噂話されてるのは知ってるが知らぬ振りが一番良い
「今度休みいつだっけ?」
「明日。お前は?」
「同じだ。遊ぼぉ!」
「他の友達は良いのか?お前は俺と違って交遊広いんだし俺優先しなくて良いぞ。どうせ同じ家だから会えるんだし」
「やだぁ。遊べなかった分遊ぶ!一緒にいれなかった分一緒にいる」
「ガキか?」
「それでも良い」
「あっそ」
素っ気なく返したが本当は嬉しい。だって俺だって遊びたかった。一緒に過ごしたかった。だって俺は…ううん。これは言ってはいけないから言わない…
「ふふ!俺がデートプラン考える!!」
「デートプランて…好きにしろよ」
「うん!」
その日のバイトのとき
物が大量に割れる音と悲鳴が響いた。驚いてその場に向かうと頭から飲み物を被ったあいつがいた
「どうされましたか?」
その席は男女4人ずつの団体。おそらく合コンか何かだろう
「こいつが女を口説いたから」
女は目線を合わせない。察するにあいつの見た目に女が見惚れるかなにかで連絡先でも渡そうとでもしたのだろう。そんなのあいつは悪くない。でも謝るしかないので謝罪してその場をあとから来た人に任せ裏に戻ってきた
「大丈夫か?」
「へへ…冷たい」
「ここ…腫れてる…殴られた?」
「ん…でも大丈夫だよ」
濡れて俯いていたので気付かなかったが頬が少し腫れていた
店長が案じてくれて早めにあがらせてくれた。
「すいません」
「こっちこそごめんね。明日はゆっくり休んでまた明後日からよろしくね」
「ありがとうございます」
帰宅して風呂の準備をして先に入れる。その間に軽食を準備した。
昔から料理は好きで良く手伝ってたから簡単なものは作れる
「お先ー。あ!うまそ。いただきまぁす」
「髪。乾かせよ…」
「えぇ…面倒…やってよ」
「わかった…」
あいつの癖のある柔らかい髪をふわふわと乾かしながらほっと息をつき目を閉じる顔を盗み見る。
本当に…綺麗な顔をしてると思う。睫毛も長くてバサバサしてて…女が見惚れるのも理解できる。
「ほら。終わったぞ」
「ん…ありがと…」
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