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第2話
「なぁ、輝〜。起きろ……ん?」
いつまでも寝てるこいつを起こそうと、輝に手を伸ばした時、いつもと違う自分の手に気がついた。
左の薬指でキラキラと輝く指輪。
「はぁー!? なにこれっ!」
驚いて大声が出てしまう。
「……どしたの、透(とおる)?」
俺の声が目覚ましの代わりになったのか、目をこすりながら輝が起きる。
「おっ、おまっ……こっ、これっ!」
うまく言葉を発せず、左手を輝の前にドンッ!と突き出し、右手で左手薬指にはめられた指輪を指す。
「んー? ……あぁ、それね。気に入ってくれた?」
俺の言いたいことが伝わったのだろう。
いつもの優しい声のトーンで返事が返ってくる。
そして輝はそのまま、俺の左手薬指にキスをした。
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