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第4話

「ねえ、透。お前はまだ……どこか不安なのか?俺が傍にいるだけじゃ、その不安はいつまでも消えない?」 突然の真面目な話に、俺の口からは言葉が全く出てこない。 そんな自分が腹立たしくて、下唇をグッと噛み締めてしまう。 「……ほら、だーめ。口、緩めて?」 輝の親指が俺の唇に触れ、力んでいたものがフッ……と抜けていく。 「俺たちがこうして過ごしてく間には、色々なことがあったよね。2人で楽しい時間を沢山過ごしたし、時には……周りから傷つけられる言葉をかけられたりさ。……でもその度に、俺たちは2人の力で乗り越えてきたよな?だから今もこうして、俺の隣にお前がいる。そうでしょ?」 輝の言葉に、コクリと俺は首を縦にふる。 「透はいつも、俺のことカッコいいって褒めてくれるけど……本当は俺、弱虫だしカッコいい所なんて全然ないんだ」 ーーギュッ。 握られた手の平から、輝の体温を感じる。 「傍に透が……何よりも大切で、護りたい透がいるから俺、カッコつけちゃうんだよね」 俺と同じシャンプーの香りだ……と思っていたら、あっという間に輝の腕の中に閉じ込められた。 いつもより少し速い透の心拍数を聞き、俺の心も落ち着いてくる。

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