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第9話
輝は透を抱きしめながら、話し続ける。
「はぁー。うちの手のかかる生意気猫ちゃんも、首輪ってか……指輪? をつけた事によって、少しは賢くなるかな?」
耳元で楽しそうに笑う輝の声を聞き、ムッとしながら透が答える。
「猫様は気分屋、自由気ままなんだよ。それとも……ご主人様の言うことでも聞けってか?」
輝をベッドに押し倒し、2人で布団の中に入り直すと、もぞもぞと尻尾--ではなく、自らの足を輝の足に絡みつける。
「ははっ。そうだね……。死ぬまで主人の傍を離れるなよ?
透以上に愛せるやつなんて--この世に存在しないんだからさ」
「にゃーん」
返事の代わりに鳴き真似をし、猫らしくあいつの口を舌で舐めてやる。
顔を離すと、目の前には輝の驚いた顔が。
「いつまでも自分が主導権握ってると思ってんじゃねーよ!」
自分の素直な気持ちを伝えて、輝からこんなにも愛されてるって感じるプレゼントをもらえて……俺の中で何かが吹っ切れた。
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