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アレキサンドライト・ロング・デイ【イエローサイド】──6
橘シローの家政夫としての仕事はこんな感じだった。
朝食終わりの八時半、家政夫としてのスイッチが完全に入り、ヘースケの呼びからハナへと呼びが変わる。そしてヘースケの着替えを待つ間に食器を洗い、湯を沸かす。水気を取る間に洗濯機のスイッチを入れ、またキッチンに戻りヘースケ好みのカフェオレを淹れ、ついでに自分の分も淹れる。食器を拭きつつ、昼食のレシピを構想し、終わると同時に冷蔵庫の在庫チェックをして構想を元に買い出しのメモを書き出す。熱かったカフェオレが温くなった頃、一息。
……やる事まだあるんですけどね?
ヘースケが仕事部屋に行ってからの俺は安心からソファーにだらり、とだらけていた。
つーか卵焼き甘めなら言っとけよ! 味噌汁はしゃーねぇ家の味出るわ! あと呼び名! 八時半で切り替えるならライーン報告怠るんじゃねぇ!
あー……煙草吸いてぇ……。
ずずっ、とカフェオレを飲みつつ、これからの予定を再確認する。まだずらずらと書かれているそれらを見て、思った。
……家政夫なんて余裕かと思ったら結構やる事あんだな……どっかで楽な仕事なんだろとか思ってたの、反省。まぁ特殊な関係だしこれが正解ってわけじゃねぇと思うけども。
シロちゃんが来る前のここ──ヘースケの家を思い出す。薄暗くて、誰が見ても汚かった。人ん家だから強く言えなかったが酷い有り様だった。こんなに陽の光が入る家ではなかったのは確かだ。何よりヘースケが健康的になったのが何よりの証拠で、多分俺よりも今は良いだろう。
頑張ってんだなぁ、シロちゃん。
よし、と俺は立ち上がり、掃除機を探した。
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