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side三葉②

 なんの跡も残っていない真っ白な道を手を繋いで2人で歩く。身体はとても冷たいのに繋いだ手だけはとても暖かい。 「ねぇ、双葉。双葉はなんでそんなに恋人を欲しがるの? この間の彼女も言ったけど、正直俺も双葉さえいればそれでいいのに」  瞬間、双葉は満面の笑みをぱっと見せて、けれどすぐに俺から瞳をそらし上を向いた。 「また雪だ」  口を開けて雪を食べようとする双葉に「答えになってないよ」と繋いだ手を揺すると「だって俺達2人じゃ何も残らない」とそう言った。 「消えてなくなるだけなんだ、この雪みたいに。俺は俺達が生きた証を残したい。双葉がΩだったらなぁ、別に俺でもいいけどさ」 「何それ、もしかして双葉は子供が欲しかったの?」 「悪い?」  少し怒ったように双葉がこちらを見やる。 「俺達にそっくりな子供、可愛いだろ!」 「俺達にそっくりじゃあ、3人みんな同じ顔になっちゃうよ」  思わず笑いだした俺に双葉は憮然とした表情で「それでいいだろ」とそう言った。 「その為だけに俺達の間に他人を介入させようとするなら本末転倒だね、そもそもそれだけの為に恋人を作ろうだなんて動機が不純すぎる」 「だって……」 「だって何?」 「三葉が俺を選んでくれなかった時、困る」  またしても双葉がふいと瞳を逸らした。選ぶ? 選ぶってなんだ? 双葉の事なら何でも分かっているつもりだったのに、言っている意味が分からない。 「1人は嫌だ、2人がいい」 「2人がいいなら俺は双葉がいいけど、双葉はそうじゃないの?」 「つっっ……三葉の馬鹿!」 「なんでだよっ!」  ふいと横を向いた双葉の頬が気持ち赤くて、冷えるからかな? と思ったけれど、繋いだ手はなお暖かくて、照れているだけかと気が付いた。 「なんで俺が離れてくなんて思ったの?」 「俺が連れてくる奴等、なんでかいつもお前を選ぶからだよっ」  俺と双葉はそっくりで、ほとんどの奴らが見分けも付かないくせにそう言う事はままあって、それに不安になってたの? 「俺がお前以外の人間選ぶわけないだろ」 「そんなの分からないだろ!」 「選ばないよ、双葉が俺以外の誰かを選ばない限りね」  双葉には言ってない、教えてない。俺は双葉以外選ばない。だから俺は双葉のふりで恋人達に冷たくあたる、当然彼等は俺に縋って、だけど双葉はそれを許さない。  もう、連れてこなけりゃいいんだよ。俺達は2人だけで充分だろ? だけど子供かぁ、その提案は少しだけ魅力的だね。

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